大会長挨拶

日本医工学治療学会第41回学術大会
大会長 宮田 昭
熊本透析アクセス研究所 所長

宮田 昭先生

 この第41回医工学治療学会が計画され始めた2023年は、Chat GTPがリリースされ、驚くべきスピードで広く一般に使用され始めたAI実用化元年でした。そして迎えた2024年はその初日から能登半島地震が発生し、羽田空港では海上保安庁機と日航機の衝突炎上事故が起きました。更には政治資金問題が表面化し、我々日本国民の政治不信を募らせる事態となりました。第41回JSTEが開催される2025年には「2025年問題(団塊の世代が75歳以上となり、人口の高齢化進行と労働力不足による医療体制崩壊への危惧)」や「2025年の崖(既存IT システムの老朽化、ブラックボックス化そしてレガシー化によるDXの実現が遅延する)」が現実のものとなろうとしています。

 この数年間で私たちの前に顕在化してきたこれらの問題を、私たちは医工学に携わる者として明確に認識し、理解し、対策を講じることを求められることになります。地域医療崩壊と高齢者医療崩壊をどう止めるのか、AIによる新たな医療構造は何処に行くのか、災害医療の緊急~復興までライフラインインフラの視点からの対策に我々はどう関わるのかなど、多くの課題とこれから我々の医工学は対峙することになります。

 私たちは第41回JSTEにおいて、大会のテーマを”Realize”「現在・過去・未来」として、この3つの時空が抱える問題を顕在化/理解(Realize)し、熊本地震からの復興の一つの形である熊本城ホールから新たな提案を行いたいと思います。

 「現在」においては参加者の皆さんからの多くの演題において医工学の今を議論し、そして医工学と様々な分野との接点を多職種間で議論したいと思います。「過去」については医工学におけるレジェンドの先生に医工学の黎明期について講義いただくよう計画中です。そして「未来」では将来の医工学について若手の演者による提案の場を準備いたします。

 過去、現在と未来の時空を繋ぎ、笑顔にあふれ楽しくて夢を育める大会を目指し、皆様のご参加を青葉薫る熊本城近くの熊本城ホールで準備チーム一同お待ち申し上げております。